3.5次元くらいが一番しんどい。

アセンション途上(?)おじさんのヒーラー修行ドキュメンタリー。

第19次元  意識が先か、環境が先か――永き前フリの果てに。

札幌から東京に移って4年が経ち、師匠と出会いヒーラー修行を始めて1年半が経ち、東京は足立区から、同じく都内の故郷の街に移って間もなく1年が経とうとしております。その間様々変化があったわけですが、環境の変化という意味では、当然札幌から東京への移住が最も大きいと言えましょう。まあ、そもそも私の故郷は東京なので、厳密に移住と言えるかどうかは微妙なところですが、都内といえど移る先は縁もゆかりもない街、そして恥ずかしながら四十にして初めての一人暮らし。「人生の転機」という言葉には、十分に値しましょう。

 

「無職移住」にあたっては様々難関もございましたが、ありがたくも諸々の条件が整い、不動産屋さんのご尽力も賜り、ついに私は足立区某所のアパートの鍵を手にすることができました。内見はスケジュール的にも不可能だったし、したところで気に入らないからチェンジ! なんて無職の身でぬかせるはずもなく、新たな住処に初めて足を踏み入れたのは契約締結後、つまりは鍵を手にしてから、ということに相成ったのでありました。

 

2017年12月、クリスマスを目前に控えた、ある日の午後のことでございました。がらん堂の六畳ワンルーム。年が明ければ、ここで新たな暮らしが始まる。昼なお薄暗く、底冷えの厳しい六畳に一人佇む私の胸の内は、希望に満ちていました。

 

これで人生が変わる。ようやく「自分の」人生が始まる。

札幌で過ごした30年、もちろん楽しいこともたくさんありました。親友にも出会えたし、よき思い出などもそれなりにあります。が、時が経ち、歳を重ねるにつれ、ここで度々語ってきたように、世間との齟齬(そご)や、何をやっても報われない空しさ等々、様々な要因が複雑に絡んで織りなす閉塞感や無力感に苛(さいな)まれるようになっていたのもまた事実。

――このままここでくすぶったまま一生を終えるのか。

四十になってぼんやりそんなことを考え出し、そうなったらなったでもう仕方あるまいよと、諦めに近い境地に入ったところでこの手に転がり込んできた、小さな鍵。

この鍵が私の人生を、未来を、開いてくれる……。

 

まあ、ある意味ではその通りになったと言えなくもない。東京来て、師匠に出会って今があるわけだし。

ただ、なぜ師匠に出会ったのかといえば、それは私が東京来て2年半経って相も変わらず閉塞感や無力感に苛まれた挙句、這(ほ)う這うの体(てい)で師匠のサロンに転がり込んだから。つまり。

 

環境が変わるだけでは、人生は変わらない。

 

札幌実家暮らしから東京一人暮らし、くらいの一大変化であっても、少なくともそれだけでは人生が根本的に変わることはない。

無論、転居や転職で人生変わったという人もこざいましょうが、その場合はおそらくもう一つ二つ、別の要素が噛んでいるはずです。例えば、転居先の街で習い事を始めたらどハマりしてそれが仕事になっちゃったとか、転職先で生涯の伴侶と出会ったとか。要は環境が変わったことがきっかけで、何かしら自身の「意識」までもが変わる体験をしたということで、転居や転職そのものがダイレクトに作用したとは、そのような場合言えないでしょう。引っ越すだけじゃあ人生変わんない。私はそれを、身をもって学んだのでありました。

 

引っ越して変わんないもんが、ちょっと旅に出るくらいで変わるはずもございません。それもこれまで山ほど経験してきました。

この十数年の間に、いわゆる「パワースポット」と呼ばれる場を数多(あまた)巡ってまいりました。三輪山(みわやま)、天河(てんかわ)大弁財天社、第14次元でお話しした竹生島(ちくぶしま)など、札幌からとなると結構ハードル高いとこも頑張って行きました。遷宮3日後のほやほやの伊勢神宮にも詣でました。東京に来た年、まだ師匠出会う前には、深夜バスで博多、そこからまたバスで高千穂へと、まるで伝説のあの番組さながらの旅もしました。ケツの肉がボロボロ剥がれ落ちる夢」こそ見ずに済んだものの、そういったある種の「試練」を伴う巡礼なども散々やった結果、やはり何も変わらず、私は師匠のサロンに転がり込んだのでありました。

これもやはり、その旅を通して自分の「意識」が変わったか否かという問題でありましょう。無論、結果がどうであれ旅そのものが貴重な体験であることに変わりはありません。が、日常と違う環境に何日か身を置いた、というだけでは、人生が根本から変わることはありません

 

では、住む街を変えて一人暮らしを始め、それに伴い職も変え、結構過酷な旅に出てそれなりに学びもした私の人生が、意識が、こうも頑なに変わらなかった理由とは、一体何なのでありましょうか。ここはいかにもヒーラーっぽく、ハイヤーセルフ閣下にお尋ねしてみますと……。

 

理由1 本気(マジ)じゃない。

もう元も子もないすね。ただ言われてれば確かに、という節はあります。

これで人生変わるといいけどね

どれほど霊験あらたかな神社仏閣に詣でようと、どれほど御神氣あふれる聖地へ参ろうと、この程度の気の持ち方じゃあそら意識も何も変わらないよね。特に第4次元でも触れたように、今思えば稚拙極まりない賢しらニヒリズムに浸って「悟った」つもりで、その実ただただいじけていただけの時期などは、「どーせ叶わない」何かを期待することを恐れていた節さえありました。

「別にこれで人生変えようとかしてないし、神様に見込まれるようなタマじゃないのも承知の上すけど一応来てみました」くらいの感じで行って、きっちり何も変わらず帰ってきて「そらそうすよね、別にいいんすけど楽しかったし」で終わる。あとは「何でこうも変わらないんだろう」という疑問を押し殺して生きるのみ。

まあ実際楽しかったし、行けただけでラッキーっていうのも本当なんだけど、明確に「自分の中の何かを変える」という強い意図を持って臨んでいたらもうちょっと違う結果になってたかも、とは思います。

東京に出てくる時だって、住みたい街があったのに「いやー家賃もそこそこするだろうし、そもそも無職の分際で何をか言わん」と不動産屋さんにぼんやりとした希望しか伝えられませんでした。結果どうなっていたかは別として、本気で人生変えるという意図をしっかり持っていたら、言うだけ言えたんじゃないかなあ。「お客様正気ですか? 東京お舐めになられてるんですか?」とか言われたって別によかったじゃん、とちょっと後悔してます。

 

理由2 逃走中

これもわかりやすいすね。旅は一時の現実逃避。それ自体別に悪いことでもないし、単純なガス抜きが大事なこともありましょう。が、当然帰ってきたら元の木阿弥、何も変わらない日常に戻るのみ。せっかく行くならやはりもうちょっとポジティブな意図、なんならあからさまに「ご利益」を求めるくらいのほうがまだましだったかもしれない。理由1と併せて考えると、迎える神様サイドからすれば「ではお主一体何をしに参ったのぢゃ?」という話です。遠路はるばるやってきて、何をくれとも言わないけど物欲しそうな顔だけはして柏手打ってる、みたいな。

さすがに転居の時はもっとポジティブであったつもりでしたが、これとて引っ越しが終わったら別にやりたくなくともとりあえず何か仕事探して、ってなった時点で引っ越す前の意識と同じ。札幌でのどん詰まり生活からとんずらこそ叶ったものの人生を根本から変えるには到底至りません。

 

なるほどなるほど、閣下のお言葉、身に沁みてございます。が一方で、そういう経験をさんざんしてきて、あっちもこっちも行き止まりできっちり八方塞がりになったからこそ、師匠との出会いが私にとって意味のあるものとなった、ということでもあります。一つでも活路、あるいは少なくとも自分ではそうだと思えるものがある状態で出会っていたら、きっと私は師匠からの学びのお誘いをお断りしていたことでありましょう。そこにお金や時間を使うという選択はしなかったはずです。

2020年7月というのはそれくらい絶妙なタイミング、それまでの人生でただの一度も、自分がやろうとかできるとか考えたことのない「ヒーリングを学ぶ」という突拍子もないことを、やってみようと「思えてしまう」条件がすべて整っていた時期だったのです。

 

環境が変わっても意識が変わらなければ人生は変わらない。

くどくどとそんなお話をしてまいりましたが、こうして改めて考えてみると、先に変わるのが意識か環境かは人により時によりまちまち。つまるところ「どっちが先でもいいじゃん、最終的に意識が変われば」という、何ともあやふやな結論に至ってしまいました。

ただまあ、そういうものでございましょう。意識が変わった結果「環境を変えない」という選択をすることもあれば、意識を変えるトリガーとして環境の変化が必要なこともありましょう。私のように、環境が変わってから意識を変えるチャンスを得るまでに2年半もの「前フリ」が必要なことだってあるんです。

そういう意味では、その長い前フリをきっちりやりきって、行き止まりの壁にデコぶつけるというオチまでつけるのも大事なことだと、今の私などは思うのであります。

今までの自分が生きてきた世界は、どこへ行っても行き止まり。それを身をもって実感し、納得することで初めて、今までの延長線上にはないまったく新しい世界を受け入れられる。そういう生き方も、悪くはありますまい。

 

もちろん、デコぶつける前に気づけばそれに越したことはないですよ。ただ私のような生粋の修行僧はそれを良しとしないだけで。特殊訓練を受けていない方は真似されませんように。無駄に心身を削られます。

 

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